柔術に体重差は関係あるの?の質問に黒帯の僕が答えます

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ブラジリアン柔術は、かつてUFCを始めとする総合格闘技で痩せていて小さな選手たちが大きな選手たちを相手に技術で翻弄し、快進撃を見せたことから、体重差はあまり関係ないといった見方がありますが実際どうなのでしょうか?

読者の方から質問をいただきました。ありがとうございます。

いつも楽しく拝見させていただいております。また、黒帯取得者の屈託の無い意見がとても新鮮に感じています。

私は、ガロ級とプルーマ級の間くらいで、青帯を取得したばかになりますが、スパーリングで、2階級ほど体重差のある上の相手だと白帯に負けてしまいます。

若い相手の白帯だと1階級上でも怪しいです。体重差があると立ちからの組合はまず敵わないので、下になりますが、始めの数分は持ちこたえますが、体重で押さえ込まれたり、若さでパワフルに来られると、徐々に劣勢になり、結局押さえ込まれてしまいます。

よくいろんな人とスパーリングをした方がよいと聞きますが、正直、重量級とのスパーリングは、あまり身になる気がしません。。。また、下の帯に負けてしまうというのが、そもそも青帯でいてはいけないのではないかと日々思ってしまいます。青帯なのに白帯に負けているじゃんと思っている人も居ると思います。

こちらから白帯に、ゆるくやろうと言うのも、どうかと思いますし、スパーリングを断るのもあからさまなので、仕方なくスパーリングしますが、結局やられてむなしい気持ちになります。このまま私が紫になったとしても、青帯の重量級には負けると思います。試合は同階級ですが、日々の練習はそうはいきません。

ボクシング等は、体重差があったらプロでもスパーリングしなかったりと、明確に認知しているようですが、柔術は、体重差は言い訳だというような風潮もあると思います。。。私がただの心の狭い人間なのかもしれませんが、体重差についてどのように考えておられますでしょうか。

大変面白い質問ですね。体が小さく、いつも自分より重い人とスパーリングをしないといけない人には痛いほど分かる心境じゃないでしょうか。

ちなみに僕も体重は軽いほうで普段の練習では90kgから100kgぐらいの人たちとスパーリングをやることもあるので、ガロほどではありませんが軽い人の気持ちはよく分かります。それを踏まて今回の体重差のテーマについて考えていこうと思います。

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柔術は体重が軽い人が不利なのか?

有利か不利かで言ったらやはり不利でしょう。格闘技なので体格が大きく、筋力が強く、手脚が長く、そして体重が重いほうが圧倒的なアドバンテイジになることは想像に難しくないと思います。

例えば技術、体力、精神力が全く同じ選手が二人いるとしましょう。そのどちらかの体重がもう片一方より重ければ、おそらく体重が重いほうが勝つでしょう。これはどうにも仕方ないことです。

体重が重ければそれだけ筋肉量も多くなり、当然力も強くなるでしょう。単純に考えても体重50kgの人に抑え込まれるのと100kgの人に抑え込まれるのでは圧力も全然違います。

体重が軽い人が重い人に攻撃をしかけても、力の差がありすぎてびくともしないこともあります。同体重の人にはかかる技でも重い人はかからなかったりすることもあります。

重い人はたいてい腕も太く強いので腕十字を極めるのも難しくなるでしょう。三角締めをしても肩幅が大きすぎて脚を閉じることすらできないこともあります。ちょっと考えてみるだけでも、これだけのハンデが浮かんできますね。

体重の軽いあなたが体重の重い人に勝てない理由

しかし体重が軽いと強くなれないのか、というとそんなことはありません。あくまでも不利だというだけで、無理だということではないのです。あなたが重い人に勝てないのにはおおよそ次のような理由があります。

1、力がないから

体重が軽い人の多くは圧倒的に筋力がなく、力が弱い人が多いです。特に日本人はこれに当たる人がほとんどじゃないでしょうか。かといって体重が軽い=力がないという方程式がいつも成り立つわけではありません。

海外で練習すると分かりますが、体重が軽くても力が強い人はざらにいます。もしかするともともと日本人よりも体質的に筋力があるのかもしれませんが、普段から筋トレをして鍛えている人も多く、たとえ体が小さくても肉体的に強くなれることは紛れもない事実でしょう。

体重が軽いから勝てないと思っている人に限って最初から力を身に付けることを諦めてしまっている人が多いような気もします。それはとてももったいないことです。本当に強くなりたいなら、やれることはなんでもやるべきなのです。

2、柔軟性がないから

どんなに筋トレをしても同じように筋トレをしている人が自分より体重が重ければ、やはりそこで力負けしてしまうことは当然あるでしょう。

そんなときは筋力だけに頼らずに柔軟性にも目を向けてみましょう。柔軟性はときに筋力をも凌駕するほどの高い効果を発揮します。相手の力強いパスガードからも身を守り、べリンボーロなどの回転系の動きでバックを取り、自分よりも大きな相手を極めることも可能です。

もし体重が軽く力も弱く、柔軟性もなかったら柔術においてかなり不利になると思ったほうがいいです。

3、技術がないから

「(自分より)力が強いから勝てない」、「(自分より)体重から重いから勝てない」といったことを言う前に、じゃあそもそも技術では確実に勝っているのかどうかという問題があります。

技術だけを数値化するのは不可能なのでどこまでが技術でどこまでが力かといった区別をするのは難しいです。ただ、これだけはいえますが、黒帯のガロの人なら白帯の大きな人にもまず負けないです。それは圧倒的な技術の差があるから体重差や力の差をもろともしないのです。

つまり下の帯の人にスパーリングで負けるなら、そもそも力や体重の前に技術にもそれほど差がないのか、あるいはその人が単純に強いだけなのかもしれません。

4、同じ戦い方をしているから

相手によって身長、体重、得意技、苦手な技など特徴があるように、それぞれに合わせたベストな戦い方があるはずです。それを誰にでも全く同じパターンで戦っていると、軽い人には通じることでも重い人には通じないといった事態になりかねません。

もしいつもと同じパターンで戦っても誰にでも勝てるなら問題はないです。しかしそうでなければ知恵を使って相手に合わせて賢く戦う方法を見つけ出しましょう。柔術はチェスのような要素も持ち合わせているので戦術によって内容は大きく変わります。

もちろん答えは一つではありません。自分より体重の重い相手と対峙したとき、相手を攻略するにはそれこそ無数の勝利パターンがあるはずです。毎回、毎回新しいことに挑戦し続けることで思わぬ弱点に出くわすかもしれません。太い腕をしていてとても腕は極められそうにないと思っていた相手が案外足関節は簡単に極められたなんていうこともよくあることです。

まとめ

体重が軽いことによるマイナス要素は挙げるとキリがありませんが、一つ大きなメリットを挙げるとすれば、自分よりも何十キロも重い人をヒョイヒョイ倒せるようになったときにすさまじい快感を得られることでしょうか。

それはとても言葉では言い表せないような気持ちの良いもので「あれ俺ってもしかして超強いんじゃない?」なんてついつい思っちゃうかもしれません。

そういう意味では軽い人のほうが柔術の技術の素晴らしさと喜びをより深く味わえる、と考えられなくもないです。いずれにしろ自分がハンデを背負っていることに頭を悩ませるのではなく、その条件の中でどのように勝機を見出せるのかを日々考えていくことが大事じゃないでしょうか。

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柔術マン

黒帯、柔術暦20年以上。

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