柔術で袖車(エゼキエルチョーク)が使われるようになった理由

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柔術においてエゼキエルチョークとして知られる絞め技があります。もともとは柔道の袖車が由来となっていますが、柔術においてこの技が使われるようになったのにはあるきっかけがありました。今回は柔術における袖車の歴史について紹介します。

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柔術のエゼキエルチョークの由来

もともとブラジリアン柔術においてエゼキエルチョークが使われるようになったのは、あるブラジル人柔道選手の存在が鍵となりました。

その選手の名はエゼキエル・パラグアス。1963年11月4日にブラジルで生まれた彼は、柔道でブラジル代表に選ばれるほどの強豪選手で、五輪ではソウル大会とバルセロナ大会に出場しています。

そんなエゼキエル・パラグアスは1988年のソウル五輪に向けて柔道の練習をしていたとき、寝技を強化する必要性を感じていました。そしてリオデジャネイロを訪れたときカーウソン・グレイシーの道場の門を叩いたのです。

柔道と柔術が再び運命的な出会いを果たした瞬間でした。

エゼキエル・パラグアスが柔術を練習したときに起こったこと

五輪選手といえどエゼキエル・パラグアスにとってカーウソン・グレイシーの道場生と寝技の練習をすることは決して楽でありませんでした。

特に柔道にはガードという概念がないため、一度柔術家のガードの中に入ってしまうと、そこからなかなか抜け出せません。

自分の思うように攻撃も防御もできず、柔術家のガードに手を焼いたエゼキエル・パラグアスはあるときしびれを切らしてついに相手のガードに入ったまま相手の頭を抱えるようにして袖車を仕掛けたのです。

これが思いのほか功を奏しました。なんせ当時柔術家たちの間ではほとんど袖車を使う人がいなかったからです。

エゼキエル・パラグアスに頭を抱えられ、袖車をされた柔術家たちは抵抗しようとエゼキエル・パラグアスの頭や体を両手や両足を使って必死に押しました。

しかし袖車は相手と距離ができるほど深く極まってしまうこともあって、多くの選手が彼の技の餌食になったそうです。

珍しい技をかけられた選手たちはもちろんそれを自分のものにしようとします。それがきっかけでカーウソン・グレイシーの道場生もいつしか同じ技を使うようになり、いつの間にか試合中などに「エゼキエルの技を使え!」、「エゼキエルだ!」などと言うようになったのです。

こうして柔道の「袖車」が柔術の「エゼキエル」となったのでした。あれから数十年が過ぎた今ではすっかりブラジルだけでなく、英語圏はもちろん世界中でこの技がエゼキエルチョークとして知られるようになりましたね。

また、柔術だけでなく、ノーギはもちろん、MMAでもエゼキエルチョークで極める選手が出てきています。

初心者から上級者、道着からノーギやMMAの選手まで多くの人に愛される技、それがエゼキエルなのです。

ちなみにこちらがエゼキエル・パラグアス本人。現在は格闘技からは離れ、ブラジルの田舎町でペンションを営んでいるそうです。

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柔術マン

黒帯、柔術暦20年以上。

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