柔術は比較的怪我の少ない安全な格闘技と言われますが、それでも長くやっていれば早かれ遅かれ怪我はします。そのとき一体どう向き合うべきなのか考えていきましょう。
読者の方から質問をいただきました。ありがとうございます。
柔術二ヶ月目にして下からの三角の際、相手の膝が肋骨に。
第7肋軟骨骨折をしてしまいました。骨折箇所は触ってもわかるほど出っ張っており、治療は保存治療で出っ張っりも治らないとの事でした。自分は柔術がすごい好きで今後も続けたいのですが、完治してからも続けていいものか分からず少し気落ちしています。今回の為のアドバイス、もう辞めといた方がよいのでしょうか…
あなたはできる理由を探す人、できない理由を探す人?
柔術では肋軟骨骨折をすることは実は珍しくなく、僕自身も一度か二度経験があります。肋軟骨骨折をすると、脇腹になにかが引っかかっているような違和感に襲われ、場合によっては骨折箇所が出っ張ることもあります。
寝技は相手の体重が全て自分に乗っかってくるため、重い人や体重のかけ方の上手い人と戦えば相当な圧力を受けることになり、ほかの骨と比べて弱い肋軟骨がポキっと行くことは不思議ではないでしょう。
骨折の程度や回復力にもよりますが、痛みが取れるには一か月かそれ以上かかるんじゃないでしょうか。
そしてそうなったときに意気消沈して「もう辞めてしまおうか」となっているのが質問者さんの精神状態だと思います。
怪我をしたとき人は当然落ち込むもので、悪い考えやネガティブな思考に襲われることもあるでしょう。
ただ、続けるか、辞めるかは結局、柔術が好きかどうかにかかってます。
自分は柔術がすごい好きで今後も続けたいのですが、完治してからも続けていいものか分からず少し気落ちしています。
本当に好きな人はこんなこと考えません。早く治してまた暴れてやろうと思うものです。もっと練習して強くなってやろうと思うものです。怪我をしていても道場にいってほかの道場生の練習を見学したり、おしゃべりしたり、とにかくやれることをします。
続けていいものかどうかはドクターが決めることじゃなく、自分が決めることです。
逆に常になにか辞める理由を探しているなら怪我を機に辞める、というのはある意味絶好のチャンスかもしれません。「怪我で仕方なく辞めた」って自分に言い聞かせたら理由としてはもっともらしく聞こえるからです。
これは柔術に限ったことじゃないんですが、世の中には常にできる理由を探して前に突き進む人と、できない理由を探して諦める人に分かれます。
僕は片手や片足が不自由でも柔術を続けている人を知っています。実際そういう方々とスパーリングしても強いです。黒帯になった人もいます。
ジャン・ジャック・マチャド先生は生まれつき、左手の指が2本しかありません。つまり片手のグリップがほとんど使えないということです。それでもアブダビコンバットで優勝しています。
ジャン・ジャック・マチャド先生が「私は指がないんでグリップができないせいでいつも負けてしまいます。柔術を辞めたほうがいいでしょうか?」なんて果たして先生に聞いたでしょうか。おそらく聞いてないと思いますよ。
怪我によってはそれこそ本当に柔術どころじゃなくなることもあるでしょう。それ以外でも生きていれば人生において柔術が続けられなくなる理由は山ほど出てきます。
でも肋軟骨骨折はどうしても辞めなければならない理由には含まれないと個人的には思います。痛みは治まるし、たとえ骨の出っ張りは治らなくても普通にまた動けるようになるからです。しかしそれでも辞めたいなら辞めても問題ないですよ。
柔術が人生の全てではないし、もしかしたらあなたは辞めるきっかけを待っていたのかもしれないので。
ただ、困難にぶつかったときにできる理由を探すか、できない理由を探すかによって今後あなたの人生が大きく左右されることは間違いないです。あなたはどっちのタイプですか?