柔術の黒帯は有名な先生からもらうべき?帯に対する価値観を考えよう

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前回の柔術の帯の登録についてのテーマに引続き、今回は帯は誰からもらうべきなのか、について考えていきたいと思います。

これについては複数の読者の方から質問を受けました。まずは前回のこの質問。

はじめまして、Tと申します。
青帯を取得すると授与者が連盟に登録されたりするのでしょうか?
もしどこかに登録される場合、誰から授与されたかは重要なのでしょうか?

もう一つは別の読者からのこちらの質問です。

はじめまして。質問があります。

柔術ではよくあいつはヒクソン・グレイシーの黒帯だとか「誰々の黒帯」といった紹介の仕方をされますが、誰の黒帯であるかどうかはそれほど大事なことなのでしょうか? どうせもらうなら有名な先生からもらったほうがいいんですか?

すごくいい質問ですね。これはいわば柔術カルチャーを象徴する出来事といってもいいかもしれませんね。ではこの問題について僕なりの考えを紹介したいと思います。

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柔術の帯制度は道場のさじ加減で決まる

柔術において「彼は誰々の黒帯だ」などといった話になる背景には柔術の帯制度が関係しています。

例えば柔道なら講道館による昇段試験を受けるのが普通です。それに対し、柔術には白帯から黒帯を授かるまでの間に年齢や修了期間といった一応の条件はあるものの共通の昇段試験は存在しません。

つまり語弊を恐れずにいうならば、自分の所属している道場、あるいは指導者のさじ加減で帯を生徒にあげるかどうかが決まるということです。

もちろん道場によっては試験をしたり、厳しいノルマや条件に基づいて帯の審査をするところもありますよ。

しかしそれはあくまでもその道場の物差しであって柔術界全体で共通認識としてシェアされているものではないです。

その結果、ある道場では帯の授与に対して非常に厳しくなり、また別の道場では比較的に楽に帯をもらえたりします。

だからこそ、その道場、あるいはその先生が認めた黒帯、という認識が育つのです。すると、どういうことが起こるかというと、有名な先生や実績のある先生から黒帯をもらいたがる人が出てくるわけです。

あるいは逆に帯の審査に緩い道場の生徒に対しては「あいつはフェイクだ」といって馬鹿にする人まで出てきたりして、いつの間にか帯に対する「ブランド」思考が生まれていったのです。

柔術世界王者の黒帯と自分を育ててくれた先生の黒帯ならどっちが欲しい?

柔術の帯は面白いもので、前述したようにブランド化されることもあれば、先生に対する個人の思い入れが介入したりもします。どちらのタイプも自分なりのこだわりがあるのが特徴ですね。

ブランドという意味では世界王者になった実績のある有名な先生から黒帯をもらいたいと考える人は当然います。

もちろん名声だけでなく、その人の持つ強さに憧れているからという面も大きいでしょう。格闘技をやる人は誰しも強さに憧れるのだから当然といえば当然です。

有名な先生から黒帯をもらうためにわざわざ海外の道場に足繁く通い、何年もかけてやっと認めてもらう人もいれば、すっかり強い茶帯になってから有名な先生の下へ行き、さくっと黒帯をもらって帰ってくる人もいます。

一方で有名無名に関わらず、できれば白帯の頃から長い間お世話になった先生から黒帯をもらいたい。柔術の実績よりも先生の哲学や人柄が素晴らしいからこの人の黒帯になりたいという人情タイプも少なくないです。

最初は全く覚えの悪かった自分に長年根気よく指導してくれた先生。ときには親身になって相談に乗ってくれた先生。自分を一から育ててくれたのはこの先生に違いない、という考えの人がこれに当りますね。

もはやどっちがいい悪いの問題じゃないです。いずれにしてもそれぞれの性格、価値観が「誰から帯をもらうか」に出やすい、ということです。

そこで改めて質問に戻ります。

誰の黒帯であるかどうかはそれほど大事なことなのでしょうか?

ブランドタイプにも人情タイプにも共通していえるのは、誰から黒帯をもらうかに少なからずこだわっているということなので、やはり多くの人にとっては大事なんだと思います。

ただし、それ自体(誰の黒帯か)に優劣があるかといったらないでしょう。あくまでもそれぞれの価値観の問題なので。

まとめ

もう一つタイプがあるとしたら「誰でもいいから早く黒帯ちょうだい」という人ですかね。中には誰から帯をもらったかなんて関係ねぇっていう人もいますよ。

ブランドも興味ない。道場を何度も移籍したから尊敬する先生も特にいない、という一匹オオカミタイプもまたそれはそれで一つの柔術人生でしょう。

ただ、大抵の人は長く練習して黒帯をもらう頃にはブランド型と人情型のどっちかに分かれる気がしますけどね。

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柔術マン

黒帯、柔術暦20年以上。

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